憐れみpityマスク




ホームで最前列に並んだあたしが
一度でも肩を強ばらせなかったことがあって?

あたしがあたしだとはわからないでしょう。
だんだん呼吸は苦しくなるけど
あたしは此処にはいない筈で
つまりあたしは既にしんでるも同然で
もう誰にも殺されようがない。

生まれてきたとき連れてきたのは
ただ恐怖と絶望で
そんな”あ”のつく感情なんて知らない。

だんだん目の前が暗くなるのは
電車がトンネルを潜ったからで

あたしの口元を覆う布が隠すのはあたしの唇だけじゃない。
あたしの存在を全否定してくれる。かわいい子。

家を出たとき連れてきたのは
ただ恐怖と絶望と白いマスクで
そんな感情持ち合わせてない。

あたしにそんな感情を持つ余裕は無かったの。
もう両手はいっぱいでこれ以上持ってこれなかったんだもの。
こんな言い訳で許して。