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| マイドール |
| 綺麗な剥製を手に入れた。 精巧な剥製。わたしが作った。 中身をくりぬいて綿を詰めた。 真っ白な真綿よ。 あなたの指先はえなめるのようで、わたしが舐めたときのまんまだったわ。 わたしのきれいなおにんぎょう。 声をかければ動き出す。 わたしの大好きだった音色で。 素敵な剥製。 わたしはあなたに恋するの。 その硝子の目から見たわたしはかわいいだけの女の子。 ああ あなたのその体が わたしと同じものでできていた頃が ふと 夢だったんじゃないかと 思う瞬間が もうこんなに かぞえきれないほど いつかわたしは あなたを忘れて この綺麗な剥製の花嫁さんに。 きっと誰かがわたしの腹をも割いて パンヤと交換してくれるでしょう。 いつかわたしは 自分に血が通っていたこと あなたと血が通っていたときのこと 忘れて ああ わたしは きれいなはくせいに ふたりでよりそって しあわせに しあわせに しあわせに |