続・鬼-桃W-



しゃべらない人形が命を得たり、歌わないロボットが感情を得たり、
そんなファンタジーが好きだった。
ありえないからこそ みんなで守って温めてきた。

私の後ろでヒトが組み上がっていく。
新しいグリスの匂いと、将来のサビの味。
機械音が怖くて後ろを振り向けない。

歯車を違えたマリオネットはただの殺人兵器。
昔は鬼と呼ばれていたそれ。
こんなものをつくりだしてしまった私達を
地盤沈下した世界に土下座をしなくてはならない。一生。
落ちた街があんなに怖かったのは、外にいる鬼が恐ろしかったのは、
本当はすぐ後ろにいつもいたそれに
気づかないようにするためだったのかもしれない。
気づかないようにして組み上げた

その機械音が怖い。
鉄の塊が怖い。ガラスの目が怖い。

鬼さんこちら 手の鳴る方へ
鬼さんこちら 手の鳴る方へ
どこかへ行っておしまい。
でも、 無理。

いつまで夢を見続けるつもり?マリオネットは踊り出さない。

燃えている家の中にはまだヒトが残っているから
私は守るために 
捨てることなどできない。

その目が怖くて振り向けない。
そして慣れて忘れていく自分が怖い。