桜ごっこ




目の悪いあたしは 池に浮かんだビニル袋を
アヒルの水死体と見間違えたんだっけ。
あたしが勝手に作り上げた設定で心拍数を上げたんだ。
まるでごっこ遊び。

さよなら さよなら
大好きだったぁ。
そう言ってあげたいと思案しているうちに
声はしゃがれていくんだっけ。
今は知らない顔が転がっていて取り囲まれて
楽しい世の中だったよ?だけど
もう美しいものは残っていないんだ。
ロッキングチェアに座った背中はもう

溶けてしまう。
吸い込むようにして溶けきってしまう。
その溶液がせめて誰かの肌から染みて誰かの一部に。
だけど溶けてみるといったあたしも やっぱりごっこ遊び。
まだ、溶けずに此処に有る。

そこにある桜色は誰かの溶液を吸い上げたんだって。
あたしはいつまで疑似体験。
目の悪いあたしは水鏡に映った白色を、
自分の白髪なのか桜なのかもわからず

この時期になると毎年同じ夢を見る。
この先果てなく生きてゆくこと。
吸い込まれて桜の一部として生きてゆくこと。
どうせすぐ後を追うのを、わかっているくせに。

桜泣いて、何も残ってないとゆうあたしは今日もごっこ遊び。
結局何もしていないうちに脳は(ツ)カレテゆくんだ。
ごっこ遊び。
あたしの脳の中だけで、
あたしを吸った桜は今年も満開になる。