酸性雨 |
広場の中央のブロンズ像には おとぎ話のヒーローが刻まれていて
大の昔から子供達は その英雄に憧れていて 大人になる日を待ち望んだんだと。 時間は 辛い雨となって ブロンズを食っていった。 時が経つほどに浸食され、 広場が狭くなるほどに 溶けてゆく。 見上げてもてっぺんが見えなかったブロンズ像は 今では見下ろしてもその跡さえ 見せない。 こぶしを空にかざしたヒーローは 絵本の中に帰ったんだと 言ってくれれば まだ救われるが 僕の後に 夢見る子供が いてくれればと 願うばかり 最初からいなかったんだと 言ってくれれば まだ救われるが 僕のほかにも 少なくはない 知っている人 気付いてしまった人 こぶしをかざしたブロンズのヒーローは もう いない |