この手の5本の指が一枚の皮でつながっていたなら
もっと楽に泳げていただろうし、
骨が伸びて羽毛で包まれれば
空を飛べたのかもしれない。
中指だけを残して 根こそぎもいでしまえば
もっと速く走れたのかもしれない。
なのに ここに小さく切り離された5本が或るのは
人間証明。
前頭葉が、働いているという証拠。

最近 地面が揺れて止まない。
ここにも住めなくなったらどこへ行けばいいの。
安住の地はどこへ行けばみつかるの。
工事現場の鉄骨が夕日に黒光りしているよ。
ここに建つのは雲に届くビルディング。
空を映してきれいな青色の。
華奢な歯車とICチップを山ほどのみこんで。
この手の生み出した最高傑作。

面が揺れているよ。
もうここには住めない。
小さく切り離された5本はプレートを掴み、地盤をひっくり返すほど力強い。
人間なんていなかったことにしてしまえるほど、力強い。

鉄骨の間から覗く手、手。
地面から突き出し伸びた手、手、手。
誰かの足をひっぱろうと、手招き。

最近 地面が揺れて止まない。